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    池田尚敬(いけだ なおたか)社長(薬剤師)


    プロフィール

    東京薬科大学薬学部卒業
    薬剤師、はり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師

    (株)御代の台薬局 設立 代表取締役就任
    (株)ツカサ調剤薬局 設立 代表取締役就任
    (株)本木薬局 設立 代表取締役就任
    (有)アイ調剤薬局 代表取締役就任
    (有)要町薬局 代表取締役 池田尚敬 就任

    家業としての薬局

    池田社長は、東京の下街、北区滝野川の薬局で育ちました。彼はその薬局を、地域住民に親しまれる「街の薬局やさん」と呼びます。
      池田社長は、高校3年生の時、お父様が腎臓結石で倒れたことを契機として、ご高齢であったお父様へのご懸念と、今後の家業の継承への思いにより、たった2ヶ月の受験勉強で東京薬科大学に合格しました。

    大学を卒業し就職したのは近所のドラックストアの様な店舗でした。雑貨と共にお薬も販売しているという感じで、街の薬店に育った池田社長にとって薬を商品として売ることにはとても違和感があったそうです。
    いわゆるセルフの業態でしたが、薬を売るときにいつも相手の事が心配でならない池田社長は、来店されるお客さんのことを常に気遣い接客対応しました。
    当時は大きな病院に患者さんが溢れており、3時間待って3分の診療という時代でした。昭和50年頃に旧厚生省は薬局について「相談薬局」(現在はかかりつけ薬局)という考えかたを打ち出し、薬局に相談してお薬を買って下さいとすすめる時代がはじまったときでもありました。池田社長の行動は、まさに時代の要請でもあったわけです。
    親身になって気遣ってくれる池田社長にはファンがたくさんできました。池田社長が異動するとお客さんも一緒に動くといった感じで、池田社長がいくところいくところよく薬が売れたそうです。
    どの仕事もそうではありますが、相談を受けてくれる、というより、自分のことを心配してくれる人(薬剤師)がいるというイメージでお客さんが自分を捉えていてくれたと当時を振り返っておられます。

    池田社長は、さらに勉強を進めて、漢方の勉強をするため鍼灸学校に通い、様々な知識を習得しました。そんなとき実績と向上心を認めた先輩の後任として漢方薬局へ入るという話が持ち上がったそうです。ただ、漢方薬局に勤務するため当時の会社を退職した翌日、お父様が入院されたことで看病をしつつ家業を継がなければならなくなり、結局漢方薬局への転職は叶うことなかったそうです。
    そのまま家業を継ぐことになり、現在の仕事をはじめる原点となる時期を迎えたのでした。

    活動と営業方針

    当時の薬局の経営は行政に守られており、製薬メーカーとのお付き合を含め、薬剤師会でもご近所の薬局とのコミュニケーションも良好でした。
    ですから、自分が薬局を経営するとなった時に安売りをして近所の薬局と争う事は嫌だったのです。そこで、かねてから勉強を進めていた健康相談をしながら漢方薬を販売することにしました。結果、かなり売上も上がり、32年前は1日5万円だった売上が約6年後には一日30万円にもなっていました。
    その後に漢方相談薬局の支店を作り、漢方志向の方を近所の診療所にご紹介すると、医師が処方箋を出してくれるという関係になりました。
    全国どこの医療機関の処方箋でも受け付けなくてはいけないのが原則ですので、患者さんが増えてくると一店舗や二店舗では薬剤と人の調達が追いつきません。

    医療機関が一件でもやっていれば勝手に休業するわけにはいかないという環境のなか、
    ご自身も一切休めない状況になるにはそう時間はかかりませんでした。店舗を増やさないと運営できないことになり、自然発生的に多店舗化は始まりました。
    そこで地域に密着した相談薬局は訪問服薬指導も自然発生的に行われるようになってきたのです。

    ビジョン

    経営のかたちとして、大きな病院の門前薬局として生きていくことは、病院経営の将来への懸念があり、また本来の薬局としての在り方として正しいかどうかといった考えが池田社長には常にあるそうです。
    また、池田社長は、自分が育った街の診療所と連携して地域に密着した薬局として貢献したい気持ちを持ち続けています。
    そもそも、大きなドラッグストア開店の影で閉店に追い込まれる薬局をたくさんみてきました。昔は一緒に会合で議論や旅行をした仲間達がそのような事になるのを見るのが辛かったし、他店と利益を奪い合った結果、閉店に追い込むことや、後継者がいないために多店舗化することをためらう同業者もいます。
    地域に根を張って活動しているのを見ていると近くには出店できないのです。周りの薬局をつぶすような経営はしたくないという思いが心に影を落とし事業拡大のネックになっていたと池田社長は述懐します。 

    そこで高齢者医療に目を向けました。
    現在ではグループホームは約8千5百、特養は約6千、有料老人ホーム約2千、高齢者専用賃貸住宅は1万5千床程あります。

    薬を届けなくてはいけない 高齢者施設等を合計するとすぐに2万床くらいになり、とても大きなマーケットになると予想されています。
    薬局が5万軒なので平たく考えても2~3軒に1軒あたりの割合で対応するようになると予想されるのです。5~6年で現在の様な状況になりました。

    これからは開業医を目指す医師の方に高齢者専用賃貸住宅の開業や援助を促したいとも考えています。
    資金を豊富に持つ富裕者に対してアパートではなく高専賃の建築を促すような流れもあります。大きな会社との提携と誘致により話を進めるケースが多いようです。
    現在では今後のためにも各医療機関や関係者との連携やコミュニケーションを図るために、訪問歯科、訪問マッサージ等の方々と情報交換会を毎月一回開いています。
    ご自身は訪問調剤しかしないけれど様々な関係者同士の情報交換サロンでは様々な議論が交わされており、とても有益な時間が共有されているとお聞きしています。

    いま、大学では学生が在宅医療に着眼し始めているそうです。
    薬剤師でも同様に関心がよせらせています。大きな大学病院近くの調剤薬局では遠方から通院する患者さんに対して調剤を行うことが主な業務となりがちです。一度きりの調剤も多く、処方箋を出す医師も、服用する患者さんのことも多くのことはわかりませんでした。しかし地域密着型の調剤薬局では医師と患者さんを良く知ることになります。在宅でも同様であり、顔を知っている、背景を知っている、疾病を知っている。
    訪問診療では薬剤師は医師と同行することもあります。患者さんの医療関係者と情報交換しながら地域医療にあたるので、薬剤師でもそのような医療体制に興味を持ってくれる人が増えていているのです。
      社長は、こんな風に語ります。
    『「みよの台薬局グループ」では現在15%位の伸び率を確保しています。
    小さい薬局、訪問診療だけで診療している医師と組んで広めていくことも考えています。
    施設訪問診療は休日や夜中でも連絡がとれて、イレギュラーの対応が可能であることが必須となります。そのように同様の対応が可能な先生と連携して他社が行わないような対応を提供することにより社会的に必要となる会社になりたいと考えています。

    自分は薬剤師なので、会社経営は無理なのではないかと考えた時期がありました。いろいろな取引に関することの詳細がわからない状態、法人としての管理や内部統制についてもわからない状態だったからです。しかし、自分の真情として、「やることをきちんとやっていけば経営はできる」という気持は常にありました。その気持が成果を生んできたのだと思います。
    今後は今までの成果をもとに立案した事業計画に基づき、タイムリーで前向きな営業活動を進めており、方針を確立して今より更に業績をあげて企業として確立したいと思っています。同時に職員の教育にも意欲的に取り組んでおり薬剤師は手仕事であるので、在職新人問わずに勉強会を沢山開催して質を向上し、良い薬剤師を増やしてネットワークを広げるのが理想です。

    職員同士、関係者として様々な情報を交換する、また、勉強した内容を患者さんに反映させて不安や心配事を減らして安心できるお付き合いをしていきたいと願っています。

    大手の調剤薬局にはないキメの細かい対応で勝ち残り、選ばれる調剤薬局を目指して、いつでも、どんな時でも新しいことに敏感であり学ぶ姿勢を大切にしてくのがモットーです』
    池田社長には、お父様からの意思でもあるのですが、自分の持つノウハウは常に解放して、皆で共有し同じ薬剤師同士においても助け合い伸びていきたい思いが強くあります。
     
    池田社長は、続けます。
    『これからも地域密着型で「皆様に愛される街の薬屋さん」を実践して参ります。
    例えるならば、郵便局のようにどの街にもあり、地域の皆様にはどのような方にも同じように丁寧な対応ができるように。大きな病院へ通院した今までから、今後はかかりつけ医に移行してきます。自分の薬を提供する患者さまであれば医療、介護と福祉のすべての人が関わり、地域住民のコンサルタントとして、安心と安全を提供し信頼される薬局として皆様を支え続けます』

    笑顔のお優しい池田社長は穏やかに笑みを浮かべながら、行動力を伴ったお話を意欲的にされ、とてもパワフルな印象を与えます。患者さんや仲間をいつも気遣い、ご自信が育った街の薬局やさんの思いをいつも持ちながら、なんとかしたいという思いがエネルギーとなるのではないかと感じました。
     
    いまや「みよの台薬局グループ」は41店舗(平成20年3月1日現在)をもち、さらに4箇所の居宅介護支援事業所も展開する、押しも押されもしないとても大きなグループになりました。例え大きな会社になろうとも、地域密着型の街の薬屋さん、という理念を持ち続ける、本当の薬局のあり方をみたような思いがあります。

    多くの地域住民を救う、なくてはならない「街の薬局やさん」として、「みよの台薬局グループ」の益々のご発展に心から期待をしています。

    参考文献:訪問服薬というお仕事 池田尚敬著
    文責:青山 記代子


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